My Essential Things – Analogue Pocket –
コンティニュエにゆかりのあるクリエイターに自由に寄稿いただいた、冬の何でもカルチャーコンテンツ。「Da-iCE」工藤さんによる相棒的ゲーム機の話。
「適度な距離感が心地良い、僕の相棒」
Written by Taiki Kudo
物心が付き始め、とても多感だったあの頃。スポンジの様に新しい知識を吸収しながら今の自分の基礎(コア)を築いた様々なカルチャー的要素は、どんなに最新で便利なアイテムが生まれようと決して揺らがないものである。思い出補正とはそういう物なのだ、ということを認めてしまえば心がスッと楽になる。ことゲームにおいてもそれは例外ではなく、さながら映画のような美麗なCGグラフィックで難解なストーリーの最新RPGも、僕にとっては8ビットの24時間もあればエンディングまで辿り着いてしまうような作品には勝てないのです。なぜなら自分の中ではそれが育ってきた教科書のようでもあり、アイデアの原点にも感じるから。そんな補正のかかった思い出をもう一度掘り起こしてみたい、そう思い立ってからは、時間を見つけては中古ゲーム屋さんを物色しています。音楽で言うところのレコードなどと似ているかもしれません。ただ、レコードプレーヤーは今も新しい商品が発売されていますが、ゲーム機のハードはそうもいかない。
そんな時に見つけたのがこのAnalogue社が開発したAnalogue Pocket。一言で言うなら令和のゲームボーイ。ただしゲームボーイ、カラー、アドバンス全ての互換性を持っているので、我々世代のプラマイ5歳くらいまではこれ一台で満足できるのではないでしょうか。自分は手始めにMOTHERシリーズをやり直してみました。懐かしさに加えて大人になったからこそ気づける絶妙な表現が随所に入っていて、新たな発見があるのも素敵な部分です。何より適度な時間でエンディングを迎えるのでのめり込み過ぎない。個人的に最も大切なポイントはここで、現在の最新作品は仕事に支障が出るほど(個人差はあると思いますが…笑)やり込み要素や追加要素があるのでどうしたものかと。その結果やはりこれくらいが丁度良いんだなという結論になりました。
ではまた行ってこようと思います。中古ゲーム屋にカセット(死語)を探しに。
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